虫歯が引き起こす頭痛の原因と予防策

虫歯の症状というと、歯がしみる、ズキズキする、噛むと痛いなどを思い浮かべる方が多いと思います」が、実は「頭痛」も虫歯の症状の1つです。
虫歯からくる頭痛を放っておくと、さらに頭痛がひどくなり、日常生活に支障をきたすこともあるため、十分に注意してください。
今回は虫歯で何故頭痛が起きるのか、その原因と予防策についてお伝えしていきます。

虫歯で頭痛になる原因とは?


虫歯の人が「頭痛」を感じる原因は以下の5つです。

それぞれの原因について、分かりやすく説明していきます。

歯髄炎(しずいえん)とは?
歯髄炎は、歯の神経と血管が集中する“歯髄”まで虫歯の感染が拡大し、炎症を起こしている状態のことです。
歯髄炎になると、ズキズキとした脈を打つような痛みが出ます。また、口臭が気になるようになる方も少なくありません。
虫歯を放置するとどんどん感染が広がり、歯髄炎にまで進行してしまうこともあるため、早めの治療が肝心です。

歯性上顎洞炎(しせいじょうがくどうえん)とは?
歯性上顎洞炎は、虫歯が進行して、その細菌が歯髄を通って副鼻腔にまで入り込み、炎症が生じている状態です。
この病気の症状は、頭痛や頬周りの痛みの他、鼻水も出ます。
「歯性」ではない上顎洞炎の場合にも同じような症状が出ますので、上記症状にお困りの方は是非診察を受けてください。

筋緊張性頭痛とは?
虫歯になると、歯が溶けたり、患部をかばうことで歯がすり減り、噛み合わせのバランスが崩れます。
噛み合わせのバランスが崩れると、どちらか片側の筋肉が緊張し、それが痛みの原因になります。
頭痛と同時に、首や肩周りのこりや痛みを感じることも多くあります。

脳炎(のうえん)とは?
脳内に赤血球が入りこみ、炎症を起こすと「脳炎」と診断されます。
頭痛、首の痛み、発熱、吐き気など症状は多岐にわたり、重度になると痙攣(けいれん)や意識障害が生じることもあるため、十分に注意してください。
虫歯が進行したからといって脳炎にまで進行してしまうことは少なくまれな症例ですが、虫歯を治さないでいれば、発症のリスクはどんどん高まります。

脳静脈血栓症(のうじょうみゃくけっせんしょう)とは?
虫歯菌が血液の流れとともに脳の静脈へ達し、炎症を引き起こして血栓をつくってしまうことを脳静脈血栓症といいます。
この病気で生じる頭痛は、強く、めまいや吐き気が出ることもあります。
虫歯からこの病気に進行するのはまれですが、けいれんや意識障害が出ることもありますので、十分に気をつけてください。

虫歯からくる頭痛の治療法


主な治療法は、虫歯そのものの治療と噛み合わせの治療の2つです。

虫歯の治療法
根本的な原因は「虫歯」にあるので、歯を治療するのが先決です。
頭痛の症状が出るほどまで進行した虫歯は、初期段階を超え、中度~重度になっていることが多いです。
虫歯は放置して治る病気ではありません。
放置すればするほど進行し、歯を失う原因となります。
放置し続ければ、頭痛以外の症状にも悩まされることになるでしょう。
1日でも早く歯科医院に行き、治療を開始してください。

噛み合わせの治療
今回ご紹介した「筋緊張性頭痛」がある場合には、虫歯治療の他に、噛み合わせのバランスを整える治療も行っていきます。
虫歯の治療が完了した後は、矯正装置で歯を動かしたり、義歯を入れて歯の高さを整えたりなど、正しい噛み合わせとなるように調整していきます。
噛み合わせが悪いと、頭痛の他、歯並びの凹凸、虫歯・歯周病、顎関節症、肩こり、腰痛、とざまざまなリスクが生じます。
こちらも早めの治療が肝心です。

虫歯の放置は「死」にも繋がる?


虫歯によって引き起こされた「頭痛」は、時に命の危険を脅かすといわれています。
虫歯からくる頭痛の全てが必ず歯に直結するわけではありませんが、リスクがゼロなわけではありません。
今回紹介した病気以外にも、心筋梗塞や脳梗塞といった怖い病気を引き起こしてしまうことがあり、まれな症例ではありますが、命の危険を脅かすというのはあながち間違いともいい切れません。

何より大切なのは、症状のあるないに関わらず、虫歯を早期に治療することです。
そして、早期に発見するためには、定期検診が重要となります。
虫歯の初期は症状も出にくいため、症状が出た時には既に重度の虫歯に進行していることもあります。
毎日の虫歯予防も大切ですが、怖い病気に発展させないためにも定期検診をしっかり受け、虫歯の早期発見、早期治療に努めてください。